ダンサーのたしなみ
ダンサーのたしなみなんてちょっと古風な言葉を使いましたが、
バレエをやってゆく上で、絶対に必要な特技と でも申しましょうか。
いろいろありますので、これから列記していきたいと思います。
● 算数(算数です。数学じゃありません。笑)
図形(二等辺三角形、正方形、長方形、対角線、円など)のこと。
ものの位置関係(垂直、平行、交差) や角度(30度、45度、90度)。
バレエでは体のことを説明するためにこうした表現がよく出てきます。
また、舞台上で移動する場合、ディアゴナル(対角線、仏語)、
マネージュ(円、仏語)といった用語も出てきます。
こうした概念が必要です。
小学校4年の中盤あたりになって、この説明を子供達がようやく理解します。
それまでは「何、それ?」という反応です。(^_^;)
案外、バレエ大好きな子がレッスンで言われていることを算数の中に見つけて、
それがきっかけで算数好きになる可能性もありますね♪
● 理科
体の仕組みを理解する基礎知識です。
特に解剖学的アプローチをする指導者は
人体模型(骨格標本、つまり骸骨) を使って説明をします。
筋肉や骨の名前なども出てきます。
知らないより知っていた方が親近感が沸くことは間違いないですね。
● 音楽
まぁ、当然といえば当然ですか。
バレエは「ヴィジュアルな音楽」ですもの。
歌えること、楽器を弾ける こと。
ピアノを習っている子は習っていない子に比べて音楽をキャッチするのが早いように思います。
ちなみに私は小学5年から2年間合唱を経験しましたが、
そこでの経験は知らないうちに役立っていたと思います。
絶対できなきゃならないことではありませんが、役に立つことだけは間違いありません。
リズムのことも知っているといいです。
せめて2拍子系、3拍子系だけでも聞き分けられるよう になって欲しいですね。
(日本人はワルツ=3拍子が苦手と言われています。)
リズムといえば、最近面白いな、と思うのは、
「太鼓の達人」とか「ドンキーコンガ」というゲーム。
これって高いリズム感が要求されているんです。
音楽を習うには時間も費用もかかるけど、
ゲームならお手軽に遊び感覚でリズム 感が身に付くでしょう。
ある意味、お得かもしれません。
読者の皆さんの中には「ゲームなんて!」と眉をひそめる方がいらっ しゃるかもしれませんね。
ちょっぴりだけ、その偏見を手放してみては?
ただし、ゲームのやりすぎにはくれぐれもご注意を! (笑
● 美術
バレエと美術は切っても切れない関係にあります。
舞台での大道具にドロップと称される幕がありま す。
白鳥の湖を例にとりますと、第1幕はお城の風景。第2幕は湖のほとり。
第3幕はお城の大広間。第4幕は第2幕と同じ湖のほとり。
それらは大きなキャンバス地に描かれた絵画です。
ダンサーにとっては、特に絵を描かなきゃとか、彫像を作らなきゃとか、
ということは必要ありません。あ、そういうと語弊があるかもしれません。
実技を必ずしも求めてはいないという意味です。音楽同様です。
もちろん、そういうことが好きな人はトライすればいいと思います。
そうしたことを実践すれば、大道具、小道具のスタッフさんへの
感謝の気持ちもはぐくまれると思います。(^_^)v
それはさておき、バレエにとって必要な美術の要素。
それは、「美とは何なのか」 という、審美眼を養うことにつながる気がします。
ですので、絵画展を鑑賞したり、美術館へ赴いたりすることが具体的なことでしょう。
「バレエはヴィジュアルな音楽」とお話しましたが、それと同時に「動く絵画」でもあると思います。
そういう観点からも絵画を鑑賞する機会を持つことが、
将来の芸術性の種を蒔くことになると思います。
今の学校教育ではこうしたことをやっているのでしょうか?
私の子供の頃はそういうのは記憶にないですねぇ。
修学旅行のカリキュラムの中に少々組み込まれていたくらいかしら・・・。
学校でそういう試みがないのだとしたら、お家の方が連れて行ってあげるしかないですね。
私のスタジオでは、美術館へ生徒を連れて行ったことがありますよ。
最近、忙しくてとんとご無沙汰しています。また、行きたいなぁ〜♪
● 家庭
まずはお裁縫です。なぜ必要なのでしょうか?
それは、トウシューズの紐つけ、つま先かがり。衣装のムシ付け。手直しなどなど。。。。。
こうした作業があるからです。
自分の履く靴なのですし、自分が踊りやすいようにするのは、自分の感覚だけが頼りです。
せめて中学生になったら、自分のトウシューズのリボンは自分でつけるようになりましょう!
そして、もしも、先々留学を考えているのなら、お裁縫以外に洗濯、料理もできた方がいいです。
留学先にはお母さんはついていけないのですから。
レオタードは毎日のレッスンで汗まみれになります。
でも、誰も洗濯してはくれません。
レッスンは大変な運動量です。当然、おなかがすきます。
でも、誰もご飯をつくってはくれません。
寮があれば、決まった時間に食事をとることができるかもしれませんが、
学校のシステムによっては、自炊しなくてはなりません。
食は健康の土台・・・。
留学先で食事がおろそかになり、体調を崩してしまう子は少なからずいます。
そうしたことからも、簡単な料理はできた方がいいです。
かといって、無理強いしても子供は受け入れないことが多いもの。
教え たいけれど、相手にその気が無ければ、親御さんは徒労に終わることでしょう。
子供に家事を教えたいと思っている方にちょっとしたコツを伝授しま しょう。
それは、お子さんが興味を持ったタイミングを見逃さないことです。
お子さんが家事に興味を持つタイミング…それは個人差があるものです。
ちなみに私の息子が興味を持ったときは、
学校で家庭科で料理を習ったときや、お裁縫を習ったときでした。
そのタイミングをみのがさず、肯定的にとらえ、興味を持ったことを家でやろうとしたときに、
うんと褒め、応援してあげました。
息子は そうしたことが自分でできることを自慢に思っている様子です。
「俺にだってできるんだよ!!」
こんなタイミングを大事にしてみてはい かがでしょうか?
小学時代の家庭科・・・これがダンサーの卵にとってはとっても大事な教科なんです。
● 外国語
もし、留学を考えているのなら、英会話は必須。
うまくしゃべれるのがベストだけれど、最悪でも聞き取れて、かつ理解できた方がいい。
私ごとで恐縮ですが、6歳の頃、半年をハワイで過ごし、
短大では2年間みっちりと英会話をやりましたが、
イギリスへ行ったとき、バレエレッスンはなんとかなりましたが、
解剖学のレクチャーはお手上げでした。(涙)
実際、留学して、追い込まれた状況にならないと、真剣にならないかも…とも思います。
それでも、やっぱり、ゼロの状態で留学なんて無謀もいいところ。
できるだけ 早いうちに習ったほうがいいでしょう。
もし、フランス語圏内に行くのなら、絶対フランス語。
留学先がフランスだったら、英語 を話しても相手にしてもらえません。
フランスはそんなお国柄だから。
● 社会
社会といっても、歴史、地理など のジャンルに分かれますが、専門的である必要はありません。
ホントに小学校で習う程度の社会で十分です。
ただ、私の経験から言えるこ とは、自国のことを知っていることが大切だと思います。
海外に行くと必ず聞かれることは「日本ではどうなの?」ということです。
なので、日本の文化や歴史についてのことを知っていると会話がはずみます。
バレエは海外から取り入れた文化でもあるので、
バレエに携わる人間はとかく海外の文化を日本の上に置く傾向がありますが、
いざ、海外に行くと、聞かれることは日本のことばかり。
自国のことを知ら ないというのは、向こうの人間には理解しがたいことのようです。
なので、専門的な知識は必要無いにしても、一般的なことは知っていたいですね。
● 保健体育
これは息子の教科書を見て、思ったことです。
体の発育のことをちゃぁんと学校で学ぶのですね。
発育のこと を無視してはいけません。
体の成長に合わせた訓練を受けることが大切です。
学校で学ぶことが直接バレエに関係ないように感じるかもし れませんが、
自分の体を知るという観点で大事な教科だと思います。
さて、さて、ダンサーのたしなみ「バレエに 役立つ教科」は
これでほとんど出そろったという感がありますね。
自分で書いて驚いたのですが、バレエにとってプラスになると思われる教科って、
なんと、世間で重要視される(つまり受験に重要とされる)教科以外が多いんですね。
ということは、バレエを志す人はオールマイ ティであることを要求されているのですね。
自分のことは思いっきり棚に上げないとお話できない話題でした。
ダンサーを志す皆さ ん、レッスンに勉学に勤しみくださいませ〜〜。