ダンスにおいて大切な3つの要素 【その1 基礎】
ダンス界において基礎とは大まかに言うと体づくりのことをいいます。
バレエの訓練はなかなかにうまくできていて、ステップの基礎となる動きを練習することで
体づくりも同時に行うことができるようにプログラムされています。
最近のダンスはどんど んテクニックがハイレベルになってきています。
ダンスは一見優雅に見え、いかにも何の苦労も見せないように踊るものではありますが、
実際のところはアクロバットの要素が非常に強いため、そのための体づくりがとても大切です。
(ここでいうダンスとはステージでのパフォーマンスをするものという意味でお話してます。)
特に現代は表現方法が多様化された時代でもあり、
ダンサーはクラシックバレエ以外のコンテンポラリー(創作)を踊ることも求められています。
クラシックバレエは均整のとれた美しさを求めますが、コンテンポラリーは変幻自在。
体の至る所を大きく動かします。
クラシックのみを踊ってきたダンサーがコンテンポラリーに挑むとき、自分の体の不自由さに驚きます。
クラシックは型があり、それを守ることをよしとする踊り。
気品や威厳が重用視されがちです。
それに反してコンテンポラリーは型がありません。
厳密に言えば、その中にも振付家によって 独自のスタイルはあるのですが、
それでもクラシックに比べると自由な表現といえるでしょう。
ダンサーにとって欲しい物は自分(もしくは振付家)の思いやメッセージを表現するために
思い通りに動く自由な体。音楽家にとっての楽器にも匹敵します。
その体をいたわりながら強靱かつ繊細に鍛え上げます。
テクニックがハイレベルになるということは、当然、体にかかる負荷がとても大きくなります。
そうしたことに対応するためにも解剖学の見地に立った上での指導が必要になってきています。
ひとつの動きを行うために使われる筋肉や骨(他にも靱帯や腱など)。
そうしたことを指導者が理解し、指導に生かすことで生徒は怪我に見舞われる確率が低くなるのです。
その大切な体づくり。それも最近ではずいぶんと様変わりしてき ています。
昔は「タンジュ(基礎訓練の名称)さえしっかり出来ていればいい」と言われたものですが、
今日ではそのタンジュですら、そのクオリティ をさらに良くするためのエクササイズが沢山あるのです。
私のスタジオではそうしたことを考慮に入れた上で解剖学的見地からの指導を行っています。
最近話題のピラティスやバァル・オゥ・ソル(その昔、シルヴィ・ギエムもレッスンしていたメソッドです)を
クラスに組み入れ、確実に成果が上がっていま す。
それらのエクササイズの効果は大きく、
これまで「この子は骨格がバレエ向きではない」などと言われるようなタイプの生徒でも、
美しく 無駄のない筋肉を持った体へと変化します。
それと同時にテクニックも無理なく習得されていきます。
この過程に関われることは、とても幸せ なことです。
ダンスを自己表現の手段として選んだ人にとってとてもいい指導法。
スタジオから本物のダンサーが生まれる日もそう遠くはない と思って日々精進しています。